相撲ロボットのページ

相撲ロボットとは

株式会社富士ソフトABCの主催で毎年行なわれている相撲ロボットコンテストです。

直径1.5mほどの土俵の上で20cm×20cm、3kgのロボットが戦い、相手を落とした(または再起不能?にした)方が勝ちというシンプルなものです。
とはいえ最近は真空ポンプで土俵に吸着したまま動くロボットがほとんどとなり高度な技術が必要なコンテストとなりつつあります(もはや私の出る幕はほとんど無いです)。
我々が参加しているのは自立型という部門でその名の通り人間は一切操作をしません。基本的にはセンサで敵を検出してマイコン制御で動作するというものです(もっともなかには、センサーレスのロボットやマイコンレスもあります。一昨年は私もマイコン無しで作ってみました)。




今年のロボット(Qテック3号)

今年もうちから4台ほど出場しました。中国大会は全てベスト8で惨敗でしたが、九州大会ではOB(小町1号)も含めて優勝、準優勝、4位をいただきました。そのうち私が設計したものは準優勝のQテック3号(操作員は機械担当の江口先輩)。私は電子回路とソフトウェアの設計・製作を行ないました。
(あと中国大会出場のQテック1号(こっちは私が操作員)の電子回路も私の設計ですが8位で負けてしまいました。ロボット自体も既にジャンクとなってます)

写真は大会終了後私の家で撮影したもの。後ろのトラ技は散らかった部屋を隠すためのカモフラージュ。





Qテック3号スペック

機械部分のスペックを出すとそっちの担当者(こわーい先輩方(爆))に怒られるので、電子回路のスペックなぞを御紹介。

項目 品名 備考
マイコンボード 秋月電子 AKI-80 ゴールド 来年あたりAKI-H8が流行るんじゃないかな、C言語も安いの出たし。
デバッグ用液晶 セイコー M1632-0A ケーブル接続の難しいシステムではセルフデバッガが有効ですね。
ラインセンサ ローム RPR-359F 焦点距離も幅広く使いやすいです。
ただ、小町1号は敵の赤外も拾う設計だったため、全国大会のTVカメラで誤動作してました。
敵センサ 送信 東芝 TLN205
受信 シャープ 1S1U60
誤動作防止に時間を空けて3回取っていましたが、それでも対象が白なら最大で1mまで取れました。
ノイズを減らすポイントはシャーシのアースをしっかりとる事。
モータードライバ 東芝 TA8429H 高性能でコンパクトなドライバです
全国大会試合直前に壊してしまい、5分前まで付け替えをしてました。冷や汗だらだら。
モーターのサージ対策は慎重に! 会場にはガスごてを!
コンパイラ LSIC-80 Ver3.5 私が居候している高野研究室で開発させていただきました。
LSIC-80ももっと安ければ個人でも気軽に買えるんですけどね。
来年はHOS-80を載せるぞ!(ってH8は?)
ROMライタ 秋月電子 AKI-ROMライタ とにかく安い。
貧乏な私にはぴったり。
書き込みは遅いですがシリアルポートから書けるし、98もAT互換もOKなので会場にも持ち込めます。一昨年は先輩が会場でROMを直すという荒業をやってくれました。



安全対策

別に威張って言うような事でもないんですが、Qテック3号のソフト&回路上の安全対策など。
ハード(機械部分)は秘密(にしなければならないらしい)が多いですが、ソフト(電子回路&プログラム)は何やってもロボットの強さにはあんまり影響しないんでバンバン公開します(所詮私が考えつくことぐらいみんなやってるでしょうし)。感想や質問などメール頂けると嬉しいです。


電源周り
コンピューター電源とモーター用電源は分離して、間にフォトカプラを入れています。去年と今年でもっとも沢山壊したのがモータードライバです。去年先輩たちが数個のAKI-80を壊したのは何の事はないモータードライバの故障のせい。今回はさすがにAKI-80だけは守り抜きました。
あと気をつけたのがセンサへの電力供給です。センサはどうしても無防備になりがちですから敵の角などが隙間に刺さり断線する場合があります(一昨年先輩がそれで負けています)。単に断線なら良いのですが、シャーシにアースしてありますのでショートによりコンピューター電源が死ぬことがあります。センサには極力プラス側の電源を引かず、抵抗などもコンピューター側に入れて万一の短絡に備えました。来年は基板に余裕があれば敵センサ用リモコンユニットにも電流制限回路を入れたいですね(これはどうしても電源をセンサまで引っ張ってくる必要があるのでショートすると全体が死にます)。

プルダウン
これも基本的なことですが、ケーブルが断線した場合に備えて信号は全てアクティブHで、プルダウンしてあります。シャーシはGNDですから断線で信号線がHになることはまずありません。また試合会場で人間が故障に気づいた場合ニッパーで切り落とすなどという荒っぽい処置も可能になります。

敵センサ・ラインセンサ
センサの故障を考慮して、まずセンサの状態を読んで反応していないのを確認してから赤外を打って受信、これを少し時間をあけて行い3回連続で反応したら検出と見なしました。感度は多少落ちますが十分実用レベルです。敵の出す赤外も拾った方が良いのではないかという考えもあったのですが、誤動作の防止を最優先にしました。これが功を奏してカメラなどから出る赤外線などにも大変強くなりました。実際全国大会では、小町1号は誤動作で破れましたし他にも誤動するマシンが多発していました。私の方式では反応していない状態のチェックを3回行なうのでそう簡単に外部からは誤動作させることが出来ません。
ただし逆に敵が赤外を同じ周波数で出しっぱなしにしてきた場合こちらのセンサは機能しなくなってしまいます。もっとも無い物に反応するよりは敵を見落とす方が被害が小さいですからアプローチとしては正しいはず!(裏付けの無い確信)
来年は超音波との組み合わせが課題ですね。

ウォッチドックタイマ
当然WDTは入れています。格闘用のロボットですので、衝撃による電源の瞬断は十分ありえます。特に電池ボックス内の電池が衝撃で一瞬離れるなどは茶飯事のようですから入れておいて損はありません。
もっともコンデンサで吸収し切れないような場合にはまだお目にかかってませんが...

液晶モニタ
今回はマイコンの状態をみるためにLCDをつけました。デバッグ中はもちろん試合の時もセンサなどの動作チェック、センサの故障検出、プログラムモードの確認などなど大いに役に立ちました。速度的にはほとんど問題ありません。



来年に向けて

去年に続き今年も全国大会は1回戦負けがほとんど、全国の壁は厚いです。
今年は大学には電子回路&ソフトが設計できる人間が私しかいなくなってしまいまい苦労しましたが、来年はいよいよ機械が出来る人間もいないかも。その次の年には誰もいないかも(今のところ私が一番若い)。うーむ、困ったもんだ。そもそも情報工学部でハードやるのが間違ってるのか?。大学にも全然認知されてないから、予算も全く無い。機械工作が出来て頭の柔らかい方、スポンサーになってくださる方、などなど募集しています。

とりあえず私は来年はQテック3号をベースに電子回路とソフトを改善して参加する予定です。現在μITRON仕様のOSを作製中ですのでまずはこれの搭載とアルゴリズムの改善。次にモータードライバ周りの保護回路の充実。モータのオーバードライブ(定格の3倍ぐらい電圧を掛ける予定)。カメラなどの赤外線やストロボによる誤動作低減(超音波センサも考慮に入れてます)などなど。ハードは同じでもソフトである程度は強化して出場しますので皆さん来年もよろしく。




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